《事例23》平成30年11月 欠かすことの出来ない資材になりそう

2019年4月12日
(農)西上経営組合

農事組合法人西上経営組合は鹿追町北西の標高360mの高台で山沿いの西上幌内に位置しています。高原ゆえに気温は平野部より常に2~3度低く、馬鈴薯栽培の限界地となっていました。春は常に遅く秋は早い気候の厳しい条件にあり、十勝のチベットなどと揶揄される地域です。この地で「農業の未来は企業的感覚と技術革新への探求協調こそ隆運の道」の教えを基に昭和50年に7戸の組合員により法人経営がスタートしました。

当初は原種馬鈴薯と飼料牧草のみの栽培で、法人経営の先駆けではありましたが、その道の素人ばかりで先も見えず何も理解し得ぬままの開設で、周囲からは「サラリーマン農業などあり得ぬ、直ぐに解散する」との声を受けてのスタートでした。 温暖な平野部よりも常に栽培リスクの多いこの地で、冷害、遅霜、暴風雨による凶作の被害を度々受けつつも、様々な作物の栽培を試みて来ました。高原キャベツに始まり、ゴボウ、タマネギ、白菜、スイートコーン、人参などにも挑戦し、平成3年に十勝では先進的な観光農園によるイチゴ狩りを始めレストランも開設し、様々な可能性を秘めた六次化への魁を果たしました。 そして現在は8戸の組合員により、300ha余りの栽培面積で、小麦、馬鈴薯、ビート、蕎麦、大豆、小豆、イチゴ苗、アスパラ、果樹、大根、デントコーン、牧草等と畑作基幹作物を中心に栽培を行っています。

今年の作柄を語る、7代目の上原明彦組合長

近年は温暖化の影響により、冷害からの恐怖は多少遠のいていますが、平野部に比べると積算温度による作物の生育の遅延は抗い難いものがあります。 そこで昨年から春の初期成育を少しでも遅らせない為の方法として取り組み始めて頂いたのが、除草剤に「唐津酵素」バイタルシリーズを混用することにより薬剤の使用量を削減し、薬害と生育の停滞を軽減すると言う新たな技術でした。特に小豆は、気温と除草剤の影響を受けやすく、平均気温が低いこの地に於いては春の生育の遅延が致命的な減収をもたらす可能性の大きな作物です。

管理課長の高橋伸さん

天候の良かった昨年は試験的にこの方法を取り入れての結果は良好な状態でした。しかし今年は6月から7月にかけての降雨と低温、日照不足の悪条件の中で、同様の栽培を行ったところ、結果的に小豆の収量が町平均よりも20~30%増収しました。

また今年は更にビート、大豆、デントコーンにも同様の方法で栽培を行ったところ、それぞれの作物に於いて良好な成果が確認された為、この技術は当組合のスタンダードとして今後も取り組んで行きたいと上原組合長は話して頂きました。西上経営組合さんが製造する加工食品にに「切り干し大根」がありますが、長年取り組んで来た土つくりと、栽培技術の結果、その品質は秀逸でとても甘みがあり美味しいとの評判が高く、需要に生産が追い付いていない状況のようです。西上経営組合さんの今後の益々の活躍を期待したいところです。

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