4月23日 数字を疑ってみよう
ご存知のように、家畜向けの配合飼料の価格が上昇しています。畜産農家の経営を圧迫し続けています。
家畜に与える飼料というのはただ闇雲に与えているわけではありません。乳牛であるならば現在出ている乳量や体重に応じた飼料設計により必要な蛋白質、エネルギー、ビタミン、ミネラルなどの量を算出して与えるわけです。この飼料設計の元となるものは日本飼養標準やNRC標準というものがあります。
この飼料設計というのは、一般的には自分で作った粗飼料(牧草、飼料用トウモロコシなど)の分析を行い、その分析数字に基づき不足する栄養分を補うための飼料設計を酪農家自ら行う人もいれば飼料屋さんに依頼する人や、最近ではこれを専門に行うコンサルタントの人もいます。
当然、科学的な根拠に基づいて作られた飼料設計ですから、様々な要因によりこの栄養給与数字が満たされないと病気や事故が起きる事があります。
一般的な酪農家であれば、この科学的な根拠に基づいて作られた数字に対して、中々ノーということは難しいようです。
一般的には「あなたの牛は今、これだけの乳量が出ていますからこれだけのモノを食べさせないと次の繁殖に悪影響を及ぼしますよ。」と言った具合に飼料屋さんの営業の人は言うわけです。
私も多くの酪農の生産現場を見ていて、飼料コストを下げようと思いエサを闇雲に減らして繁殖成績が悪くなったと言う話も聞いた事がありますし、その反面エサを減らしてもさほど問題はなく、むしろ事故や病気が減ったなどという話も良く聞くことがあります。
私自身も現在の飼料設計を否定できるほどの知識はありません。ただ現在のように配合飼料価格が高騰している状況下において飼料設計の数字だけを満たす事が必ずしも経営にプラスにはならないと思うのです。
あくまでも飼料設計の数字だけを信じる経営をするのか数字だけではなく目の前にいる彼らの状態変化を的確に感じ取りながら牛を扱うのか、現在の改良されてきた乳牛達ですから、配合飼料をゼロで飼う事は不可能に近い事かもしれませんが、輸入穀物の依存率を下げていく飼い方は今後、ますます求められていくでしょうし、それが自らの経営を持続させて行くことの重要な要素であることは間違いないでしょう。