12月8日 美味しい牛乳ってどんな味なんだろう?
早いもので、もう師走に入りました。一月に一度ペースのブログ書き込みとなっていますが、HPもリニューアルしたのでもう少し書き込み頻度を上げなきゃダメですね。
さて食糧自給率が相変わらず40%前後で推移しているこの国ですが、残念ながら圧倒的な輸入食糧の流入もあり、スーパーやCVSの店頭には溢れんばかりの食糧が並べられています。
食糧難の時代においては質より量、まずは胃袋を満たすことが最優先されます。量が満たされて来ると必然的に人々はより美味しいもの、安いものを要求し始めます。(もっとも安いものにはそれなりの理由がありますが。)昨今のメニューの偽装問題などは当然、食糧難の時代にはあり得ないことですよね。
これからの日本は少子高齢化による人口減少が予測され、当然胃袋の要領もサイズダウンしていく事になります。私が仕事で関わる酪農業界ですが、生産された生乳は大きく分けて二つの用途があります。一つは飲用向け、もう一つはバターやチーズなどの原料向けでそれぞれ国が買い入れ配乳権を持つ指定団体を経て各乳業メーカーに販売されます。
また飲用向けと原料乳には価格差があり飲用向けの方が買い入れ価格は高いのです。
ところが先日ある会議の席上、北海道内にある市乳販売農協の担当者からちょっとショッキングな話を聞きました。酪農家は生産コストを下げるるため多くの生乳を生産し粗飼料以外に様々な飼料を与えます。特に泌乳量が高い牛には分娩後のエネルギー不足を補うために脂肪酸カルシウムと言うものを給与します。(全ての酪農家ではないですが、最近は現場でも結構見かけます。)もちろん法律的にも給与が認められている飼料ですが、ある一牧場だけの生乳をその牧場ブランドで販売していた所、脂肪酸カルシウムを給与してから消費者から牛乳が美味しくなくなったとのクレームが入り始め、結果的に脂肪酸カルシウムが牛乳の味に影響しているとの結論に至り、それ以来、脂肪酸カルシウムの給与は禁止にしたそうです。
私はその報告を聞いてゾッとしました。現在の酪農家は一元集荷の下に少しでも多くの生乳を生産しコストを下げようと努力していると思うのですが、実はそれが牛乳の味を美味しくなくしてしまい結果的に消費の拡大どころか、より一層の牛乳離れを起こす一つの原因になってしまっていないかと言うことです。
以前、北海道のお米は猫またぎと言われ、まずい米の代名詞でした。しかしながら現在は美味しさを追及した品種改良の結果、日本国内においても米どころにも引けを取らない物が数多く出回るようになりました。
以前、米の品種改良を行う公的な試験機関の方の話を聞いたとき、それまでは北海道内の米の育種改良項目に収量性や作りやすさと言う項目があったが、食べる人の立場から見た美味しさという改良項目が無かったと聞いて驚いたことを思い出しました。
主食の米と同じ比較は出来ませんが、今一度、美味しい牛乳と言うものをを見つめなおさないと、いくら生乳は海外から入って来ないとは言え消費者から美味しくない牛乳なら飲まないわ!と言われてしまうのではないかと余計な心配をしている今日この頃です。