1月15日 三つのゆとり
新年早々、不覚にもスキーで怪我をしてしまいました。小さい頃からスキーをやって来て骨折こそしなかったものの、左脚のふくらはぎ肉離れ、右肩の腱の損傷とこんな怪我は始めてです。以前だとそれなりのリカバリーが出来たはずなのにこれも間違いなく加齢の影響なんでしょうね。何とも情けない話です。
生乳の不足から端を発した年末のバター不足騒動、その根底には酪農家戸数の減少と言う問題があります。そんな理由のせいか今年の乳価交渉が早々と決着したようです。モノが溢れる今の時代、多少不足気味の方がスムーズな交渉結果に至ったと言う皮肉な話でもありますが。
酪農家戸数の減少、いわゆる離農と言う問題についてですが、私がこの業界で仕事を始めた時に「酪農経営を行っていくための三つのゆとり」こんなテーマの講演を聞いた事が今でもずっと記憶に残っています。
生き物や自然を相手に1年365日休みなしの酪農経営(今では酪農ヘルパー制度がありますが)だからこそ、この三つのゆとりのバランスが取れないと経営主本人は勿論のこと、決して後継者も育たたないと話されていました。
その三つのゆとりとは
1、経済的なゆとり 経営ですから、毎年赤字続きで良い訳がありません。投資の回収を行うためにも黒字経営は基本です。
2、労力的なゆとり 昔の人なら、寝る暇を惜しんで働き家族サービスなど二の次で良かったかも知れませんが、今の時代の経営者にそ れは許される話ではありません。
3、精神的なゆとり 意外とこの三つ目のゆとりと言うのは個人差もあり一緒に働く家族との価値観の共有もありますので意外と重要なゆとりかも知れません。
この三つのゆとりと言うお話は家族経営を前提とした話であったと思います。家族経営から規模の拡大や法人経営がこれからの生き残る道だと言われますが、乳量500t出荷の牧場10戸が5000t出荷の牧場一つになれば良いと言う話でしょうか?
生産乳量は同じかも知れませんが、経営者は10人から1人になってしまう事になります。ただ経営能力の無い人が経営を行う事ほど悲劇的な話はありません。今の時代に求められている酪農経営者像は規模の拡大の追求だけでなくこの三つのゆとりのバランスを取る能力を持ち得ているのか。昨今の酪農家の離農と言うニュースに触れる度にこの話を思い出します。