北洋銀行相談役 武井正直さん
またまた、北海道新聞の記事から、北洋銀行相談役の武井正直さんに聞く、との大きな特集記事が掲載されていました。武井さんはバブル経済の真っ只中、他の金融機関がこぞって土地投機などの融資で業績を伸ばす中、金融の原点に立ち原則に従って行動した結果、生き延びる事が出来たと語っておられました。世の中の銀行は貸し出しを伸ばしているのに北洋銀行は伸びていないと周りから無能呼ばわりまでもされたらしいです。
この記事を見ていて、はたと感じた事があります。まさしくこの話は今の酪農業界のおかれている現状と同じではないかという事であります。確かについ最近まで輸入穀物を原料とする配合飼料価格が安値で安定しており、酪農家はどんどん設備投資をして生産を上げたほうが儲かるよと、多くの酪農を取り巻く関係機関から圧倒的大量の情報が流されたわけです。それが現在はどうでしょう。穀物輸出国側の事情であれ穀物価格は高騰する一方です。
当然ながら、そのような生産形態に持っていった酪農家はこれから相当厳しい状況になっていくでしょう。安定的な農業経営を阻む要因として気象の変化などは、今に始まったことではありません(そのために土つくりを行っているわけで。)が海外の穀物需給バランスや穀物相場などはどんなに優秀な酪農家にだって、どうすることも出来ない要因です。
私のある取引先の酪農家の方が、以前、言っていたことが思い出されます。「今、エサ(購入する飼料)がいくら安いからといって、良い自給飼料作りは怠ることが出来ない。」と。まさしくその方が言っていた通りになりました。酪農の原点、原則は、土作り、草作り、人つくり、改めてこの言葉の重みを感じます。
最後に武井さんが提言をされたことで、北海道は一次産業で日本全体に貢献してきたのに利潤が道外に吸収されて実が残っていないと言われていました。
世界的な水資源の枯渇と地球温暖化(地球灼熱化)の影響で寒冷地の北海道は有利になるとも提言されました。今一度、我々の回りにある資源を見直さなくてはいけないのではないでしょうか。