農産物のブランド化に疑問
最近、差別化を計るために地域の農産物をブランド化しようという試みが各地でとりおこなわれています。農産物のブランド化自体、すべてを否定するつもりはありませんが、日頃、生産現場を見ている立場から考えさせられる事が多々あります。
先日、本州の取引先にお中元としてメロンを送ろうと思い、かねてより当社取引先の十勝の畑作農家さんから紹介をしていただいた、夕張市紅葉山の小野農園さんをお伺いしました。
小野農園さんは、夕張のメロン生産組合には入らず、独自の栽培方法と交配を行い、しかも収穫は完熟したもののみというこだわりをもって、全量をご自身で売り切っているそうです。
実際の味のほうはというと、さっぱりとした甘みと、リーズナブルな価格で大変満足でした。
農産物の流通は一般的に一元集荷、多元販売が中心で特に夕張メロンや、川西ナガイモなど名前の通ったものは、勝手に個人の農家が販売できない仕組みになっていると聞きます。
しかしながら名前の通ったものがブランドというならば、いつ、どこで買っても全く同じものが手に入るのでしょうか。農産物ですから、その年の天候はともかく、誰が作ったかで農産物の味など変わってしまいます。農産物の地域ブランド化は生産者の栽培方法、土作り、肥培管理まで完璧にカバーされているのでしょうか。
畑作物だけでなく、畜産物、特に牛肉など与えている飼料も違えば、飼い方も違うのにそこの地名だけを取って、ブランド化している牛肉も見かけますが、そこの地域からでさえ、不満の声を聞くことがあります。
本当の意味の農産物の地域ブランド化を目指すなら、生産者の教育、品質管理などすべての面において究極を目指していただきたいと思います。中途半端な地域ブランド化が多いような気がします。
私の勝手な解釈ですが、先ほどの小野農園さんが夕張のメロン生産組合を抜け自己責任において小野農園ブランドを高めていこうという、これが本当の農産物のブランド化ではないでしょうか。